希望退職(早期退職)が悪いと言いたいワケではありません。
しかしわたしの周りの人は、希望退職(早期退職)に応募して後悔したという人も少なからずいます。
自分の置かれている状況や、会社の状況によっても違うでしょうから一概にいいとも悪いとも言えないのが希望退職(早期退職)制度です。
こんな世の中ですから、いつ誰が対象になってもおかしくはありません。突然募集が始まっても慌てないように、制度について理解し、しっかりと自分の考えを持っておきましょう。
希望退職(早期退職)制度を知ることが大事
その場の勢いや、会社の言いなりになって応募した人ほど後悔する傾向にあると思います。これらの制度にはメリットとデメリットは当然ありますので、しっかり実態を理解した上で判断することが必要です。
私は会社員として上場企業に長く勤めてきました。その間に希望退職を募る側として面談をしたことが2度ほどあります。
その後は少し立場が変わって面談を受ける側にもなりました。両方の経験をしたという人はそれほど多くはないでしょう。
希望退職について、一般論も交えながら、わたしの経験から感じたことをお伝えしたいと思います。
希望退職(早期退職)とは名ばかりのリストラ
すでに多くの方がお気づきだと思いますが、希望退職といっても無条件に広く募集をすることは稀です。通常は会社がパフォーマンスが低いと判断した人をリストアップし、そうでない人と面談の内容を変えます。
場合によってはABCとランクを付けて、Aはもし応募してきても慰留、Bは本人の希望に委ねる、Cは強めに退職を勧めるといったように対応を分けます。
この場合A、Bは何度も面談をすることは通常ありませんが、Cは態度を保留にしていると二度、三度と面談になるでしょう。
三度目の面談があったら、ほぼ間違いなくリストアップされていると思った方がいいです。
わたしが面談をする立場だったときは、対象者(Cランク)が態度を保留している場合や、退職を拒否している場合は三回までは面談をしてOK、四回以上にならないよう気を付けるように指導されました。過度な面談は執拗に退職を迫ったとして問題にされる可能性があるからですね。
つまり自分が「対象にされているな」と思っても、三回乗り切れば終わる可能性が高いです。
ちなみに、この面談の指導をする人というのは、「転職エージェント」の会社の人です。
彼らは転職を斡旋することで収益を上げていますので、希望退職が円滑に進むように企業を支援します。
対象になったら拒否はできるのか?拒否した場合の不利益は?
結論から言うと、もちろん拒否できます。会社は「このまま残ってもポストは無い」という常套文句を言ってくるでしょう。それでも構わないと言えば残ることはできるでしょう。あくまでも表向きは希望退職ですから。
ただし残る場合のリスクも考えなければなりません。あからさまな左遷や降格などの不利益は会社としても難しいはずですが、居心地が悪くなる可能性はあります。
拒否したことに対する報復ととらえられるような処遇については会社も慎重になるはずですが。
しかし通常の人事異動として、これまで全く経験の無い部署に飛ばされることは十分にありえますので、その覚悟は必要でしょう。
もうひとつのリスクは、会社が本当にヤバい状況の場合です。わたしの会社がそうだったのですが、1回希望退職を行ったからといってそれで終わりではなく、さらなるリストラが必要になることがあります。
大抵このような場合、最初のときよりも希望退職に応じる場合の条件が悪くなります。例えば割増退職金が最初は10か月分だったのに、その次は6か月分となるなどです。
もっと状況が悪くなると指名解雇に踏み切ることもありえます。日本では解雇が難しいとは言われますが、合理的な理由があれば解雇はできますので、必ずしも一方的にクビにされる心配はないというワケではありません。
そもそもそこまで追い込まれた会社に残ることが一番のリスクかもしれませんが。
本当に再就職はできるのか?
しっかりと考えた結果、希望退職に応募すると決めた場合、次に気になるのは果たして「本当に転職できるのか?」という点ですね。
多くの会社では希望退職には「転職を斡旋するオプション」がついてきます。ここで転職エージェントが登場するワケですね。
そのときの社会情勢、本人の年齢などにもよるので、一概に転職できるかどうかは語れませんが、うちの会社ではほとんどどこかに転職できていたと思います。
年齢が上がるほど妥協が増えるのは言うまでもありませんが。
転職エージェントは履歴書の書き方や、面接の仕方なども指導してくれますので、自力で再就職先を見つけるのが困難な人にとっては、利用価値があると思います。
先にお伝えした通り、会社の業績がさらに悪くなって指名解雇に踏み切ったり、最悪会社自体が潰れたりすることになったら、こういった支援も受けられないでしょう。
結論とまとめ【どちらにしても会社に依存しない生き方を見つけるべき】
結論を言うと、今の会社の将来に不安があるとか、転職にも興味があるという人は希望退職に応じてもいいと思います。
しかし転職してうまくいく自信がない人、その時点でとても迷っているという人は応募すべきでないと思います。
今の会社を辞めてもやっていける自信がつくまで、残ってがんばってもいいのではないでしょうか(多少の不利益は覚悟で)。
さらに言うと、普段から今の会社に依存しなくても生きていけるように、在籍中に準備をしておくべきです。その準備ができていないなら、取りあえず会社に残って準備をしましょう。
次の希望退職募集があるか、会社が潰れるか分かりませんが、少しの猶予はできるはずです。その間ひとつの会社に依存しないで生きていくためのスキルを身につけましょう。
いきなりフリーランスを目指しましょうというワケではありませんが、今や多くの企業で副業が認められているように、ひとつの会社に依存する時代ではなくなっています。
会社も従業員を一生面倒みるなどとは考えていません。
わたしは在籍している会社が希望退職を募集したのをきっかけに、いつまでも今の会社に依存はできないと考えて副業を始めました(面談する側ではなく面談される側になりました)。
もう2年以上経ちますが、収入の蛇口が増えたおかげで精神的にラクになり、結果として今の会社にいても不安は小さくなったと思います。
そもそも70歳まで働かなくてはいけない世の中になろうとしていますので、いずれは今の会社に依存しないで生きていかなくてはならなくなります。
年金だけでは生活は厳しいでしょうから、十分な備えがない人は働き続けなくてはなりません。今のうちから収入の蛇口を増やしておくことで老後の安心も手に入れることができます。
副業をがんばれば、フリーランスへの道も見えてきます。アメリカでは数年後には会社員よりもフリーランスの数が上回ると言われています。いずれ日本もそうなるでしょう。
まずは気楽に副業から始めてみてはいかがでしょうか?
一番の理想は副業によってフリーランスへの道筋を付けて、会社が希望退職を募集してきたら、応募して割増退職金をゲット、それを元手に独立ですね。
準備が足りなければ会社残ればいいだけです。
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